看取りの場で、人が人にふれるということ~緩和ケアアロマその1

(掲載には病院の許可を得ております)

川崎市内の市立病院の緩和ケアセンターに

アロマケアのために伺うようになってから

6年目になります。

最後の最後に

人の手にしかできないことがあることを

たくさん教えてもらっています。

院内ではこのように行っています

月に2回、午前中から夕方まで

1日10人前後の方のお部屋へ伺います。

うち1日は

医師看護師のカンファレンスに参加させていただき

患者様、ご家族のご様子を伺います。

今まで何百人の方にお会いしてきましたが

同じ方に2回以上お会いすることは少ないです。

お一人の時間は15分から長くても30分くらい。

その短い時間が

その方にとってどれだけの意味を持つのか

かみしめるようにトリートメントをさせていただいています。


少し先の未来を見てくれた方

ある日

ご高齢の女性の部屋へ伺うと、

「私もう終わりなの。」

と繰り返し繰り返しおっしゃっています。

事前に看護師さんからそう伺っていたので、

いったん退出して

その日の最後にもう一度伺いました。

やはり、暗いお顔で

「私もう生きていないの。」

とおっしゃいますが

ちょっとだけ、嫌だったらすぐにやめますから、という約束で

ハンドトリートメントを受けていただくことにしました。

トリートメントを始めて間もなく

うとうととされていたので

お返事はないだろうと思いつつ

「終わりましたよ。」とお声かけをしましたら

「ありがとう。また廊下でお会いできるかしらね。」

と思いがけない、とても優しい笑顔でおっしゃいました。

さっきまで暗い表情で

「私はもう生きていないの」とおっしゃっていた方が

15分後には笑顔で

「またお会いできるかしらね」と言ってくださったことに

とても驚きました。

少しでも未来を見ることができたのだとしたら

伺って良かったと思いました。

ケアセンターのセンター長である先生が

ご自身の著書の中で

「私たちの仕事は

患者さんにこの世に未練を持ってもらうこと」

と書かれています。

患者様に

「もう一日生きてみてもいいな」

「生きていることも悪くはないな」

と思ってもらうこと。

その意味が少しわかった瞬間でした。

タッチケア



声を振り絞るようにして「さいこー」

また、ある日は

男性の方にフェイシャルをしました。

声を出すこともとても困難なのですが、

かすれる声を振り絞るように

「さいこーー」と言って頂いた時には

看護師さんも思わず一緒に笑顔になりました。



眉間のしわが、、、

また別の男性の方です。

入室した時から

眉間に深い皺を寄せて

目をつぶっていらっしゃる方で

「では始めていきますね」とお声かけをすると

「うん」と短く頷くだけなのですが

片足が終わる頃には

眉間の皺がなくなって頬がゆるんでいるのが分かります。

退出するときにも「うん」と頷くだけなのですが

わずかに口角があがっています。

あとから看護師さんに感想を言ってくださる方も多く

「今日患者さんが

今まで見たことがないくらい穏やかな顔で

眠っていらしたんです。

眉間の皺がなくなって。

ありがとうございました。」と

看護師さんからお礼を言われることもあります。

タッチケア 緩和ケアアロマ フットトリートメント



どうしても痛み止めが効かない時も

また

なかなか痛み止めが効かず

ずっと苦しそうに声をあげていらっしゃる女性の所へ伺ったときには

トリートメントをしている30分間は

その声がぴたりと止んで

眠っていらっしゃいました。

トリートメント中ずっと

「すみません、すみません」とおっしゃっていたので

「あやまらなくていいんですよ」と言うと

泣きながら「ありがとう」とおっしゃって

ふっと頭が揺れたと思ったら

眠っていらっしゃいました。

香りと肌のふれあいと

ご自分がおっしゃった「ありがとう」の一言で

張りつめていたものが緩んだのかもしれません。

その後しばらくお休みになっていたようです。

緩和ケアの場では

ご本人と長く会話をすることが難しかったり

言葉のコミュニケーションが難しいことも多いですが

そういう時に

香りやふれるという

非言語コミュニケーションが果たしている

役割の大きさを感じています。



~~~その2へ続く