看取りの場で、人が人にふれるということ~緩和ケアアロマその2

~~~その1からの続き

(掲載には病院の許可を得ております)

会話の中で感想をいただくこともあります。

「言葉にならない」

「この前、初めてやっていただいて

香りとマッサージって別々でも良いものだけれど

相乗効果っていうんですか、

本当に感激してしまって。」

とおっしゃって

トリートメントの間ずっと目を閉じていらっしゃったので

靴下を元通りにして退出しようとしましたら

「そのままでいいわ。

言葉にならない。

余韻を楽しみたいから。

このままでごめんなさいね。」と

ゆっくりおっしゃって

ゆっくりと目を閉じていらっしゃいました。

人生の中のほんの20分です。

でもその時間がどれだけの意味を持つのかを

自覚しなければと、いつも思います。

どうか一番身近にいる人が側にいて

その瞬間に手を握っていてくれますようにと

いつも思います。

一瞬で場の雰囲気を変える香りの力

オイルを準備して病室に入ると

「あ~、もういい香りがする」と

笑顔になってくださる患者様やご家族もいらっしゃいます。

香りに対するリアクションは本当に瞬時で

パっとお顔が明るくなって

ひと呼吸つかれます。

一瞬で場が和むのが香りのすごいところです。



介護する側の気もちを楽にする

また、トリートメント中、

「どうやってやるんですか??」

「何を使っているんですか?」とすぐ側で

じーっとご覧になっていらっしゃる方もいます。

アロマトリートメントを行うだけでなく

医療スタッフやご家族にアロマケアの方法をお伝えすることもあります。

病院の外での出来事ですが

ご主人が末期がんを患い

ずっと不機嫌で

怒ったり暴言を吐いたりしているという奥様が

ご自分でご主人にアロマトリートメントをしたいということで

一緒に練習をしたことがありました。

その後何度もメールをいただきました。

ある日

「少し主人の怒る回数が減って

ありがとうの言葉も増えてきたようです。

調子が良い時は一人で買い物に行きましたよ。

おかげで夫婦の絆も少し深まってきたかも。

感謝しています。」

また別の日

「主人との距離が近くなりました♡(ハートマーク)

自分にもケアしてあげられることが分かりました。」

また別の日

「あれ以来

毎日欠かさず肩と脚のタッチをしています。

もう少し強く、弱くとか、

毎日違います。

日常の旦那さんの言葉が柔らかくなりました。

自分にできる事があって嬉しいです。

感謝しています。

言葉で励ますのには限界があるばかりでなく

虚しくなるけれど

ふれる力はすごい!」

いつも眉間に皺を寄せて

文句ばっかり言っているご主人が

その時だけは穏やかになるのだそうです。

その後ご主人がお亡くなりになり

奥様からメールをいただきましたが

あの時間があって本当に良かったとおっしゃっていました。

タッチケア 夫婦の絆 



ふれることは、見送る側のためにもなります

見送らなければならなかった家族にとっても

何もできないまま見送ってしまった

という後悔を抱えているより

「自分が何かすることで

少しでも笑ってくれたり

楽になったり

よく眠れたと言ってくれたり

ありがとうと言ってもらったりした」

という思い出があることで

悲しみから立ち直っていく大きな助けになります。

それは

ふれるという感覚と香りの感覚は

五感の中でも本能と感情に直接作用する

特別な感覚だからです。

五感の中でも

ふれるという感覚は

<今、

ここにふたりが、

生きていなければ、

体験することのできない>

唯一の感覚です。

ふれることができるものは

確実に存在します。

反対に

ふれることができないものは

存在が不確かです。

だからこそ

ふれていた肌の記憶は大切な思い出となります。

また

香りは記憶と非常に結びつきやすい感覚ですので、

その時の香りが

いつまでも故人を偲ばせてくれます。

緩和ケアの現場で行うアロマケアは

ゴールを変えることは出来ません。

でも

その道のりを安らぎに満ちたものに変える

手助けをすることはできます。

同時に

見守る家族にとっても

大切な記憶となります。

タッチケア 夫婦の絆



アロマトリートメント、難しくはないの?

院内で行っているアロマケアは

難しいものではありません。

アロマテラピーは基礎が分かれば大丈夫です。

トリートメントの手技の中に

難しい手技は一つもなく、

寄り添うことの意味と

ふれることの意味が分かれば

誰でもできるものです。

緩和ケアアロマ講座では

アロマ初体験の方もできるように進めていきます。

すでに資格をお持ちの方には

健康な方に行うのとは全く違うトリートメントの仕方を

身につけていただけます。