タッチケアの役割~愛着の形成

愛着という

目には見えなけれども生きていくうえで大切なものは

どのようにして形成されていくのかを

タッチケア(皮膚感覚・触覚)の視点から見ていきます。


愛着形成の仕組み

赤ちゃんは

誰かの温かい手でだっこしてもらったり

ふれてもらったりすると

その人に対して興味関心がわきます。

そして

ここちよい皮膚刺激を与えてくれる人を信頼するようになります。

この人といると安心すると感じます。

こうして特定の人との間に

愛着が形成されていきます。

タッチケア


安心・安全・信頼の判断

赤ちゃんは自分に関わる人を自分から選ぶことはできません。

どうやって、「この人は安全・この人は味方」を感じているのかと言うと

皮膚感覚(触覚)とにおい(嗅覚)です。

人の五感の中では皮膚感覚が一番最初に発達します。

次がにおいの感覚です。

嗅覚は成熟した状態で産まれてくる点が他の感覚と違うところです。

この2つの感覚は脳の中でも

本能と感情の部分に直結しています。

皮膚感覚やにおいでその人の気配や雰囲気を感じると

脳は、本能的に安全かそうでないかの判断をします。

まだ視覚も未発達で

(視覚は1歳半くらいで不自由ないくらい見えるようになり

3歳くらいで1.0まで見えるようになると考えられています。

五感の中でも成熟するのが最も遅い感覚です。)

自分で自由に動けない、話せない、

言葉も十分に理解できない赤ちゃんにとっては

安全を判断するのは皮膚感覚とにおいの感覚によるところが大きいのです。

だからこそ、幼ければ幼いほど

たくさんの肌からの安心感と

自然な香りをたくさん経験させてあげることが

成長の土台を創り

その後の成長に大きく関わってきます。

どれだけお子さんにふれていますか?

過度に消臭した生活

人工的な香りの多い生活をしていませんか?


愛着に関する実験⑴

栄養をくれる人だから愛着を抱くのでは?という疑問もあります。

これについては<布のお母さん(cloth mother)の実験>が有名です。

赤ちゃんザルの前に

2タイプの人工的に作ったお母さんを置きます。

1つは針金でできたお母さんで

このお母さんからミルクが出ます。

もう1つは布でできたお母さんで

このお母さんからはミルクは出ません。

すると赤ちゃんザルは

ミルクを飲むとき以外はずっと布のお母さんと一緒にいます。


欲と肌からの安心感と

どちらを大切に思っているかというと

それは肌からの安心感なのです。


愛着に関する実験⑵

8~900年前の神聖ローマ帝国での実験があります。

フリードリヒ2世は何か国語も操ることができ、とても語学が堪能でした。

そこで

人はどのようにして言葉を獲得していくかを知りたいと思い

新生児50人を城に集めて実験を始めます。

ミルク、お風呂、排せつなどの衛生環境はしっかりと行います。

城の外で育てられるより

衛生面や栄養面で恵まれた環境だったと考えられます。

しかし世話をする人がやってはいけないことが決められていました。

・赤ちゃんと目を合わせてはいけない

・笑いかけてはいけない

・話しかけてはいけない

・やさしくふれてはいけない

すると

50人の赤ちゃんは全員

1歳を迎えることができませんでした。


ペットとの愛着

犬や猫、ウサギなど、動物を飼っている方からよく聞きませんか?

「餌をやっているのは私なのに、なつかないのよ~」

「餌とかトイレの掃除とか担当の子にはなつかないのに

何にもしないだんなが帰ってくると

すっごい嬉しそうに寄っていくのよ。」

本能的に

一緒にいて安らぐ人

一緒に遊んでくれる人

何も要求しないでただ一緒にいてくれる人 に

一番愛着を感じているようです。




人は人にあたたかく関わってもらって人になる

いくら栄養が足りていても

暑さ寒さがしのげても

清潔にしていても

愛情に基づいた行動

~目を見て話しかける・笑いかける・抱きしめる・撫でる・さする・一緒にいる等々~

無しに心身ともに健全に大きくなることは難しいのです。

一見あまり意味のないような行動が

じつは人としての土台

~居場所や心の安定感やコミュニケーション力や社会性など~

を創っていく大切な時間になっているのです。